Love actually is...
- mommemma
- 2016年12月24日
- 読了時間: 4分
everywhere.
というのは、今やクリスマスシーズンの名作と知られる映画『Love Actually』の冒頭の台詞。
イギリス・ロンドンを舞台として展開される19人の男女のラブ・ストーリーです。
私もここにいる間にで何十回と観ました 笑。
12月23日。
クリスマス・イヴの、イヴ。
ここデンマークでは、23日に必ずと言っていい程食べるものがあります。
それが「Risengrød」。英語に訳すと「Rice pudding」。
Round rice(日本米に近い、丸みを帯びた形のお米)をミルクで煮込むだけという、いたってシンプルな食べ物です。
甘みを加えるためにお砂糖とか塩少々をお好みで、といった感じですが、おススメはたっぷりのシナモンとバターを一さじ乗せること。一気にクリスマス感が出ます。

それと、飲み物には「Saftevand」を。
「Saftevand」は英語に直訳すると「Juice water」。濃縮果実のジュースを水やサイダーで割って作る飲み物で、お口直しにピッタリです。
実は昨晩、偶然近くに住んでいるというスカルスのクラスメイトのお家にお呼ばれして、この23日ディナーを頂いてきました。
クラスメイトと言っても、彼女は私の母ほどの年齢。それでもいつの快活で明晰で、私たち若いメンバーをサポートしてくれました。
ディナーを終えて二階に上がり、彼女はニッティングを、私は刺繍をしながらテレビを観たりおしゃべりをしたり。
海外駐在で仕事をすることの多かった彼女は、英語が堪能なのは勿論、世界の色々なことを知っています。
その話を聞くのも楽しいし、日本の文化について話しをするのも面白い。
お互いの好奇心旺盛な性格が相まってか、話をする度に「じゃあ、これは?」「こんな話を聞いたことがあるのだけれど、本当?」といった具合に会話が展開していきます。
「apprenticeship」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
彼女の甥っ子がグラフィックデザインの「apprenticeship」を始めるというので「それってinternshipとは違うの?」と聞き返すと、また別のものだということで。
「apprenticeship」とは日本語に直訳すると「徒弟制度」に当たります。デンマークを始めドイツやイギリスなどヨーロッパの多くの国がこの職業訓練制度を採用しているのです。元はというと、皆さんも中学の頃に習ったであろう「ギルド労働組合」に端を発するそう。なんと歴史の深いことか。
Internshipが学生をやりながら時間を割いて取り組むのに対し、Apprenticeshipは本格的な訓練のため学生と二足のわらじでは到底勤まらない程だとか。
さらに期間は通常3年から6年で設けてあり、その修行?を経て且つ試験にクリアしてから初めて一人前の職人と認められるのです。しかもその先経験を積んで「教育者」になるには、また別の訓練を要するといいます。なんと入念に系統立てられていることでしょう、、。
Apprenticeshipは主に手先を使ってする仕事に求められるそうなのですが、それが水回り修理だったり屋根職人だったり、そんな細分化されているの?!というかそんなに細かいところまで本当のプロがいるの!?という点に度肝を抜かれました。日本だったら何週間かOJTして「はい終わり」何てこともザラだというのに。
でもそれもそう。デンマークの街並みを見てもフラットに暮らしてみても、美しいと同時にやっぱり古い。
この美しさと古めかしさを共存させていくのに、きちんとした技術が求められるのは当然なのです。
日本にも世界に誇れる匠の技はあるけれど、ヨーロッパのそれと比べると私たちの日常生活に浸透しているとは言い難い。
もっと遠くて手の届かない「神業」、みたいな感じ。
それと、全く対照的に蔓延しつつある「短期取得!」が売り文句の資格産業。
そんな短期間でお金を払えば身につくことなんて世の中に殆どないのに、その需要は一向に減らない。
みんな必死に何かに成りたがってるようにも見える。
逆に言えば、あんなに働いてさらに自分の時間を学びに使おうとする日本人って、ある意味勤勉だしポテンシャルも高いのかもしれない。
そのポテンシャルを活かせる制度や学びの機会があればいいのにな、とふと思った。お金目当てのなんちゃって資格じゃなくて。
そんな会話を延々としながら、偶然始まった「Love Actually」を二人で観る。
何度も観たはずなのに、見るたびに毎回心が潤っていくのを感じながら。
デンマークのオーフスで、母と同じくらい齢の離れた女性とこうやって過ごすクリスマス。
なんて特別なんだろう。
豪華なことも特別なことも何もしていないけど、じんわりと、その時間を噛み締めました。
これまで私が滞在した国は、これが3か国目。
20歳のオーストラリアから始まり、23歳で訪れたスペイン、そして30歳を迎えたデンマーク。
それぞれの土地に、人に、思い出があります。
交わした会話やその時の陽の光、感じた気持ちも幾つかは覚えていて。
それぞれの人生を、あの頃出会ったみんなはどのように過ごしてるだろう。
いつかまた、同じ場所に行ってみたいと思いました。
10年後か20年後か。
そしてここオーフスも、間違いなくその場所の一つになったのです。
Comments